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解析用3Dジオメトリ準備ガイド

StreamWright で解析を始めるとき、最初につまずきやすいのが「3Dモデルをどう用意するか」です。 構造解析では部品の3Dモデルがそのまま解析対象になりますが、流体解析で解析するのは 部品そのものではなく「流体が占める空間(流体ボリューム)」です。 本ガイドでは、手元の CAD モデルから StreamWright に投入する解析用ジオメトリ (STEP / STL)を用意する方法を、解析タイプ別に説明します。

操作手順そのもの(設定済みプロジェクトで動かしてみる)は 例題ライブラリ を参照してください。本ガイドは 「例題を自分の形状に置き換えるとき、何をどう作ればよいか」に答えるものです。

目次

章 内容 こんなときに読む
第0章 まず理解すること(概念と3つの鉄則) 全員・最初に
第1章 内部流れ(パイプ・ダクト) 配管内の流れ・圧力損失
第2章 外部流れ(物体まわり) 空力・風の解析
第3章 CHT(固体と流体の熱連成) 電子機器冷却・ヒートシンク
第4章 回転機械(MRF と AMI) ファン・撹拌・回転体
第5章 多孔質ゾーン フィルタ・ハニカム
第6章 パッチ命名・ファイル形式リファレンス 命名規約の早見表
第7章 CADソフト別 流体ボリュームの作り方 手元の CAD での具体的な操作
付録 アップロード前チェックリスト アップロード直前に

第0章 まず理解すること — 解析対象は「流体の空間」

構造解析では「部品の3Dモデル=解析対象」ですが、流体解析で解析するのは 流体が流れる空間そのものです。たとえば配管内の流れなら、解析対象は パイプの金属部分ではなく、パイプの内側の空間です。

部品と流体ボリュームの違い

受け付けるファイル形式と単位

3つの鉄則

  1. 1ファイル = 1パッチ アップロードした STL ファイル1つが、境界条件を割り当てる1つの面グループ (パッチ)になります。STL ファイル内部の solid 名は使われません。 入口・出口・壁のように面を分けたいときは、ファイルを分けて書き出します。
  2. ファイル名 = パッチ名 inlet.stl はパッチ inlet になります。内部流れでは、ファイル名に inlet / outlet などを含めるだけで境界条件の種別まで自動で割り当てられます (規則の詳細は第6章)。
  3. 「ゾーン」系のジオメトリは閉じた閉曲面 CHT の固体・MRF のローター・多孔質ゾーン・AMI の回転領域(缶)は、 すき間や開口のない閉じたソリッドの外面である必要があります。 開いたサーフェスではメッシュ生成に失敗します。

なお STEP ファイルをアップロードすると、CAD の面ごとに自動分解されて 〜_Face_1, 〜_Face_2, … というパッチになります(第6章参照)。 STL のようにファイル名で入口・出口を宣言できないぶん、アプリの Patch Setup タブで面を指定する手順が入ります。

第1章 内部流れ(パイプ・ダクト)

配管・ダクト内の流れでは、管の内側の空間をソリッド化した「流体ボリューム」を 用意します。パイプ部品の3Dモデルをそのままアップロードしてはいけません (メッシュが管の「肉厚部」に生成され、流路の計算になりません)。

1ファイル1パッチの命名

用意するファイル

方式 ファイル 特徴
STL 分割(推奨) inlet.stl + outlet.stl + wall.stl ファイル名で境界条件まで自動割当。いちばん確実
STEP 1個 流体ボリュームの STEP 面が 〜_Face_N に自動分解されるので、アプリ上で入口・出口の面を指定する

手順

  1. CAD で流体ボリュームを作る。 代表的な方法は次の2つです (SOLIDWORKS / Autodesk Fusion / Autodesk Inventor での具体的なコマンド名は第7章)。
    • 管の端面(入口・出口)にフタ(キャップ面)を張り、囲まれた内側の空間を ソリッド化する(多くの CAD にある「囲まれた空間からソリッド作成」系の機能)。
    • 配管全体を包むブロックを作り、配管部品をブーリアン減算して内側の空間だけを残す。
  2. 書き出す。
    • STL の場合: 入口面・出口面・残りの壁面を別ファイルに分け、 inlet.stl / outlet.stl / wall.stl と命名して書き出します。 入口が複数あるなら inlet_top.stl / inlet_side.stl のように inlet を含む名前にすれば、どちらも流入面として扱われます。
    • STEP の場合: 流体ボリュームを1ファイルで書き出します。
  3. アップロードして確認する。 サイドバーの Geometry Input に投入し、 Geometry Unit を確認します。STEP の場合は Patch Setup タブで 3D プレビューの色分けを見ながら、入口・出口にあたる Face を指定します (面数が多いときは、いったん全てを wall に一括変更してから 入口・出口の2面だけを個別に変更するのが早道です)。

対応する例題

自由表面(VOF)のタンク解析も「容器の内側の空間」をボリューム化する点は 同じです。初期の水の領域はアプリ側で箱指定するため、水と空気を別々の ジオメトリに分けて作る必要はありません (ダム崩壊(ex09))。

よくある失敗

第2章 外部流れ(物体まわりの流れ)

外部流れでは流体ボリュームを作る必要はありません。解析したい物体の形状 (STEP / STL)だけをアップロードすれば、周囲の計算領域(風洞に相当する箱)は アプリが自動生成します。

外部流れの自動ドメイン生成

用意するファイル

ファイル 内容
物体の形状 1個 解析対象の物体(車・建物・翼など)。閉じたソリッドが望ましい

手順

  1. 物体の形状をアップロードし、メッシュモードを External にします。
  2. サイドバーの Fit Box を押すと、物体寸法を基準に 上流側 2倍・下流側 5倍・側方 3倍のマージンで計算領域の箱が自動生成されます。
  3. 箱の6面(minX〜maxZ)の境界条件を Patch Setup タブの 📦 Domain Boundaries で設定します。初期値は全て wall なので、 流入面(inlet)と流出面(outlet)の指定を忘れずに。 風向きが +X なら minX を inlet、maxX を outlet にするのが基本形です。 側面・上面は slip(すべり壁)にすると壁の影響を減らせます。
  4. 物体の表面は自動的に1段細かくメッシュ化されるため、 特別な設定なしでも物体まわりの解像度が確保されます。

対応する例題

よくある失敗

第3章 CHT(固体と流体の熱連成)

CHT では流体領域と固体領域の両方を用意します。ここで最も多い疑問が 「固体と流体は干渉(重なり)してよいのか?」ですが、答えは Yes です。

固体は流体ボリュームに重ねて(埋め込んで)構いません。むしろ内包が前提です。 流体から固体の形をブーリアンでくり抜く必要はありません。メッシュ生成時に、 固体ジオメトリの内側が自動的に固体領域として切り出されます。

CHTの固体は流体に内包させる

用意するファイル

ファイル 内容
流体領域 1個 解析空間の全体。固体を含んだ「中実」のボリュームでよい(筐体内の空気なら筐体内側の空間全体)
固体領域 ×N 部品(領域)ごとに1ファイル。閉じた閉曲面。ファイル名がそのまま領域名になる

手順

  1. 流体領域: 筐体・ダクトの内側の空間全体を1個のソリッドにします。 内部の部品をくり抜かず、部品が埋まる場所も含めた中実のボリュームで 構いません(作り方は第7章)。 サイドバーの Geometry Input からアップロードします。
  2. 固体領域: 部品ごとに STEP / STL を用意し、Physics タブの CHT セクションで「➕ 固体領域を追加」→ 領域ごとにアップロードします。 領域名(=ファイル名)が OpenFOAM の領域名になるため、 HEATSINK / PCB / CHIP のような英数字の名前を付けてください。 固体同士が接触していても構いません(固体間の熱伝導も解けます。 ex05 が基板+チップの2固体接触の例です)。
  3. 発熱・物性の設定: 各固体領域に発熱量や材質を設定します。

注意点

対応する例題

よくある失敗

第4章 回転機械 — MRF と AMI の使い分け

ファンや撹拌翼などの回転機械では、MRF(定常・回転座標系)と AMI(非定常・実回転)で用意するジオメトリの要件が正反対です。 ここを取り違えると先に進めないので、最初に下の表で確認してください。

MRFとAMIの違い

MRF(定常) AMI(非定常・実回転)
用意するもの 流体領域 + ローター形状(羽根+ハブ) 流体領域の各面 + ローター形状 + 回転領域を包む閉じた「缶」STL
回転ゾーンの定義 ローター形状の外接箱+10% が自動生成される 缶 STL の内側(自分で設計する)
缶(回転領域の器) 不要 必須
対応する例題 ダクトファン(ex10) Taylor-Couette 回転円筒(ex11)

MRF の手順

  1. 流体領域(ダクトなど流路全体のボリューム)を通常どおりアップロードします。
  2. 解析タイプで MRF を有効化し、MRF ゾーンの設定 UI から ローター形状(羽根+ハブ)の STEP / STL をアップロードします。
  3. 回転軸と回転数を指定します。回転ゾーンはローター形状の外接箱を 10% 拡張した領域として自動生成されるため、回転領域の「缶」を モデリングする必要はありません。

AMI の手順

  1. 流体領域の各面(壁・入口・出口など)を STL で用意します。
  2. それとは別に、回転部品を完全に内包する閉じた回転体(円筒などの「缶」)の STL を作ります。缶の設計指針:
    • 回転する部品全体をすき間をもって完全に包むこと
    • 静止側の壁と干渉しないこと
    • 缶の表面のうち流体を横切る部分が、自動的にすべり面(AMI 面)になります
  3. アップロード後、Patch Setup タブで缶の STL にパッチ種別 ami_rotor を割り当てます。回転ゾーン名は缶 STL のファイル名と 揃えるのが慣例です。
  4. Physics タブで回転する壁面(羽根・内円筒など)を回転壁パッチとして 選択します。これを忘れると、領域は回っているのに壁は静止したままになり、 流れが駆動されません。

よくある失敗

第5章 多孔質ゾーン(フィルタ・ハニカム)

フィルタやハニカムのように、細かい構造をそのまま解像せず圧力損失体として 扱う領域です。構造の実形状ではなく、多孔質として扱う範囲の外形を用意します。

用意するファイル

ファイル 内容
流体領域 1個 流路全体のボリューム(第1章と同じ)
多孔質ゾーン ×N 多孔質として扱う範囲の閉じた閉曲面(ブロック形状など)。ゾーンごとに1ファイル

手順

  1. 流体領域を通常どおりアップロードします。
  2. 解析タイプで多孔質を有効化し、ゾーンの設定 UI から多孔質ゾーンの 形状(STL / STEP)をアップロードします。流体領域の中に重ねて置く 形で構いません(CHT の固体と同じ考え方です)。
  3. ゾーン名を付けます(英数字とアンダースコア。ゾーン名がそのまま OpenFOAM の cellZone 名になります)。
  4. 圧損係数(Darcy-Forchheimer)を入力します。ゾーン形状の寸法は 自動計測されて圧損の逆算にも使えます。

対応する例題

よくある失敗

第6章 パッチ命名・ファイル形式リファレンス

受け付けるファイル

入力 拡張子 備考
ジオメトリ .stl / .step / .stp 1ファイル=1パッチ(STEP は面ごとに自動分解)
設定メタデータ metadata.json ジオメトリと一緒に投入すると単位・境界条件を自動反映(後述)
プロジェクト一式 .ofb.zip 例題の配布形式。全設定を復元

パッチ名の生成規則

アップロードしたファイル名から、次の規則でパッチ名が作られます。

境界条件の自動割当キーワード

内部流れ(Internal)モードで STL をアップロードした場合、ファイル名に 次のキーワードが含まれていると、境界条件の種別が自動で割り当てられます。

ファイル名に含む文字列 割り当てられる種別 例
inlet 流入面(面法線方向の流速入力が既定) inlet.stl, inlet_top.stl
outlet 流出面 outlet.stl, outlet_2.stl
sym 対称面 sym_plane.stl
fan ファン領域 fan_zone.stl
(上記以外) 壁面(wall) wall.stl, body.stl

自動割当は初回の取り込み時のみ働きます。以後にアプリ上で変更した内容が 常に優先されるので、自動割当が意図と違った場合も Patch Setup タブで 自由に変更できます。外部流れ(External)モードでは全て wall で取り込まれ、 計算領域の6面(Domain Boundaries)側で流入・流出を設定します。

STEP の面分解

STEP をアップロードすると CAD の面ごとに {元のファイル名}_Face_{番号}.stl に分解されます。番号は CAD カーネルの内部順序で決まるため、どの番号が どの面かは事前に予測できません。3D プレビューの色分けで位置を確認しながら、 Patch Setup タブの一括変更(全て wall に)→ 入口・出口だけ個別指定、の順で 設定するのが実務的です。

metadata.json(上級者向け)

ジオメトリファイルと一緒に metadata.json をアップロードすると、 単位や境界条件が自動反映されます。同じ形状を繰り返し解析するときや、 社内でジオメトリを配布するときに便利です。

{
  "unit": "mm",
  "patches": {
    "inlet":  { "type": "inlet", "inlet_mode": "normal_velocity", "speed": 2.0 },
    "outlet": { "type": "outlet" },
    "wall":   { "type": "wall" }
  }
}

主なキー: unit(設計単位)、patches.<パッチ名>(type / inlet_mode / speed / velocity / temperature)、default_solver、 domain_bounds(外部流れの計算領域を明示指定)。

座標系の決め方

第7章 CADソフト別 — 流体ボリュームの作り方

第1章・第3章・第5章で「用意する」と書いた流体ボリュームを、実際の CAD で どう作るかを SOLIDWORKS / Autodesk Fusion / Autodesk Inventor について説明します。 外部流れ(第2章)は物体の形状だけでよいため、本章の作業は不要です。

コマンド名は CAD のバージョン・言語設定によって多少異なります。 括弧内に英語表記を併記していますので、見つからないときはそちらで探してください。

本章の画面は、各ソフトの日本語 UI で実際に操作した画面です。 SOLIDWORKS は Dassault Systèmes SolidWorks Corporation の、 Autodesk・Autodesk Fusion・Autodesk Inventor は Autodesk, Inc. の 商標または登録商標です。本ガイドはこれらの企業が承認・提携・後援するもの ではなく、各ソフトでの操作手順を説明する目的で画面を引用しています。

作り方は2通りだけ

流体ボリュームを作る2つの方法

方法 やること 向いているケース
A. フタ+内部領域の抽出 開口部(入口・出口)にフタを張り、囲まれた内側の空間をソリッド化する 管・ダクトなど流路がはっきりしている形状。考え方が直感的
B. 包囲ブロック − 不要領域の除去 流路を覆うブロックを作り、部品の肉と外側の領域を除いて内側の空間だけを残す 複雑な組立や、方法Aが通らない形状。フタを作らなくてよい

どちらでも、できあがるのは中身の詰まった1つのソリッドです。 これを STEP でそのまま書き出すか、面ごとに STL に分けて書き出します。

書き出し形式の選び方

STEP 1ファイル STL 複数ファイル
CAD 側の手間 少ない(ボリュームを1個出すだけ) 面を別ボディに分けて個別に書き出す手間がかかる
アプリ側の手間 Patch Setup で入口・出口の面を指定する ファイル名で境界条件まで自動割当(第6章)
三角形の細かさ 取込時に自動生成(設定不要) CAD 側の解像度設定しだい
おすすめ まずはこちら 同じ形状を繰り返し解析する/面数が多く選択が大変なとき

まず試すなら STEP 1ファイルが確実です。同じ形状を繰り返し解析するなら、 一度 STL 分割を作っておくと以後の設定がほぼ自動になります (CAD 別の具体的な作り方は下の各節にあります)。

SOLIDWORKS

方法A — フタを張って「交差」で内部領域を作る

  1. 開いている端面にフタを張ります。サーフェス タブの 平坦なサーフェス(挿入 > サーフェス > 平面 / Planar Surface)を選び、 「境界エンティティ」に開口部の内径のエッジを選ぶだけで平面が作られます。 入口・出口の2か所ぶん作ります。
  2. 挿入 > フィーチャー > 交差(Intersect)を開き、「選択アイテム」に 元のソリッドと①のサーフェス2枚を入れます。
    • 「内部領域を作成」を選びます(「交差する領域を作成」「両方を作成」ではありません)
    • 開口部が平面だけなら、☑「サーフェス上の平面な開口部をキャップする」を使えば ①を省略できます
    • 「交差」ボタンを押します
  3. 「除外する領域」に領域の一覧が出るので、流体にしたい内部領域以外 (管の肉厚部など)を除外して OK します。オプションの ☑「サーフェスも除外」にチェックしておくと、①のフタが残らず後片付けが楽です。
  4. 不要なボディを消します。ツリーでボディを右クリック > ボディ削除/保持(Delete/Keep Body)> タイプ「ボディ削除」。 ソリッドとサーフェスをまとめて選べるので、管の肉厚ボディとフタ2枚を 1回の操作で削除できます。

手順1: 平坦なサーフェスで開口部にフタを張る

手順1 — 平坦なサーフェス。「境界エンティティ」に開口部の内径のエッジを選ぶと 平面のフタができます。

手順2-3: 交差ダイアログと除外する領域

手順2〜3 — 交差 では「内部領域を作成」を選びます。☑「サーフェス上の平坦な開口部を キャップする」を使えばフタ作りを省略できます。実行すると「除外する領域」に 領域の一覧が出るので、流体にしたい領域以外を除外します。

残ったソリッド1個が流体ボリュームです。ツリーでボディ名を FLUID などに 変えておくと、以降の書き出しで迷いません。

方法Aの完成: 管の中に残った流体ボリューム

完成 — 不要なボディを消すと、ソリッドボディが1つだけ残ります (半透明で重ねて表示した状態)。これが流体ボリュームです。

方法B — ブロックを押し出して「交差」で不要領域を除く

フタ(平坦なサーフェス)を作らずに済むぶん、こちらのほうが手数は少なくなります。

  1. 入口の端面にスケッチを描きます。管の断面より十分大きい矩形で構いません。
  2. フィーチャー > 押し出しボス/ベースでブロックを作ります。
    • 方向1のタイプを 端サーフェス指定 にし、出口の端面を選びます。 これでブロックの両端が入口面・出口面と正確に一致するため、 フタが不要になります
    • ☐「結果のマージ」のチェックを外します。 これを外し忘れると、ブロックが元の部品と1つのボディに融合してしまい、 ただの直方体になります(方法B で最も多い失敗)
  3. 挿入 > フィーチャー > 交差(Intersect)で、元の部品ソリッドと②のブロックを 選択し、「両方を作成」を選んで「交差」を押します。
  4. 「除外する領域」に領域の一覧が出るので、部品(管)の肉厚部と、 ブロックのうち管の外側にあたる部分の2つを除外します。 残るのは管の内側の空間だけ、つまり流体ボリュームです。 オプションの ☑「結果のマージ」で1ソリッドにまとまります。

手順2: 端サーフェス指定と結果のマージOFF

手順2 — 方向1のタイプを 端サーフェス指定 にして出口面を選び、 ☐「結果のマージ」のチェックを外します。ここを外し忘れるとブロックが 部品と融合し、ただの直方体になります。

この手順なら、余分なボディを後から削除する作業も不要です。

書き出し

いずれも ファイル > 指定保存 から、「ファイルの種類」を切り替えて行います。

STL の「オプション...」で開く画面。単位を mm に、解像度は ユーザー定義 で偏差公差・角度公差を指定します。☑「ファイル保存前に STL 情報を表示」を 残しておくと、保存時に三角形数を確認できます。

サーフェスボディを wall / inlet / outlet にリネームした状態

オフセット サーフェス を 0.00mm で使って作ったサーフェスボディを、ツリーで wall / inlet / outlet にリネームした状態。この名前がそのまま STL の ファイル名=パッチ名になります。

座標がずれないようにする

分割 STL は、全ファイルが同じ原点・同じ向きでなければ、組み合わせたときに 形状がバラバラになります。SOLIDWORKS では次の2つで担保します。

上の実測例は、どちらも既定のまま(「モデルの座標系で出力」OFF・出力座標系 デフォルト)でも3ファイルが正しく一致しました。ただしこのモデルは全体が 原点の正側(0〜200 × 0〜20 × 0〜120 mm)に収まっていました。 原点をまたぐ位置にモデルがある場合に備え、上の2点は明示的に揃えておくことを おすすめします。

Autodesk Fusion

方法A — 内側の面を写し取り、フタをして「ステッチ」でソリッド化(推奨)

考え方は Inventor と同じです。

  1. サーフェス > 作成 > オフセット で管の内側の面を選択し、距離 0 mm で サーフェスボディを作ります。
  2. 元のソリッドをブラウザで右クリックし、除去 します。 「削除」ではなく「除去」を選んでください。「除去」はタイムラインに フィーチャとして残るため後続の操作が壊れませんが、「削除」は パラメトリック履歴ごと消してしまいます。
  3. サーフェス > 作成 > パッチ で、入口・出口それぞれの開いた輪郭にフタを作ります。
  4. サーフェス > 修正 > ステッチ でサーフェス3枚をすべて選択します。 許容差(既定 0.10 mm)・操作「新規ボディ」で、閉じていればソリッドになります。 ダイアログの「ステッチの結果」でフリーエッジの数を確認できます。

手順1: オフセットを距離0mmで使う

手順1 — オフセット の距離を 0.00 mm、操作を「新規ボディ」にして内側の面を 写し取ります。

手順2: 削除ではなく除去

手順2 — 右クリックメニューの 除去。ツールチップにあるとおり、除去は タイムラインにフィーチャとして残り、削除 はパラメトリック履歴ごと消します。

手順4: ステッチで閉じてソリッド化

手順4 — ステッチ でサーフェス3枚を選択。許容差は既定 0.10 mm、操作は 「新規ボディ」。閉じていればソリッドになります。

方法B — ブロックを押し出して切り取り、外側のボディを「除去」

  1. 入口(または出口)の端面をスケッチ面にして、管を覆う大きさの長方形を描きます。
  2. 押し出しで反対側の端面まで伸ばし、操作を 新規ボディ にします。 これでブロックの両端が入口面・出口面と一致します。
  3. 修正 > 結合 で、ターゲット ボディ=ブロック、ツール ボディ=管、 操作=切り取りにします。
  4. 結果は2つのボディに分かれるので、外側のブロック側のボディを右クリックして 除去 します。残るのが流体ボリュームです。 (同じ操作でも Inventor は1ソリッド扱いになりボディ単位で消せません。 Fusion はきちんと2ボディに分かれます。)

手順3: 結合の切り取り

手順3 — 結合 でターゲット ボディ=ブロック、ツール ボディ=管、操作=「切り取り」。 「ツールを維持」はチェックしません。

書き出し

ボディからコンポーネントを作成

リネームしたサーフェスボディを右クリック > ボディからコンポーネントを作成。 これを行わないと、ボディ単位では書き出せません。

単位のタイプに注意

メッシュとして保存の単位のタイプ

メッシュとして保存 の画面。単位 mm のドキュメントでも「単位のタイプ」が 「メートル」になっていた実機の状態。三角形の数もこの画面で確認できます。

書き出しダイアログの「単位のタイプ」は、ドキュメントの単位設定と連動しません。 しかもコマンドによって値が違います。 実機では、単位を mm に設定した同じ ドキュメントで、ファイル > 3D プリント は「ミリメートル」、 メッシュとして保存 は「メートル」になっていました。 どちらの経路でも、書き出しのたびに明示的に確認・設定してください。

メートルで書き出したファイルを mm のつもりで取り込むと寸法が 1/1000 になり、 結果が桁違いになります(第0章)。取り込み後に 3D プレビューの バウンディングボックスで寸法を確かめるのが確実です。

実測例(同じS字管): wall.stl 8,710三角形/inlet.stl・outlet.stl 各185三角形。 3ファイルの座標系は一致していましたが、単位のタイプがメートルのままだったため 0〜0.2 の値で書き出されていました(Inventor の同じ形状は 0〜200)。

Autodesk Inventor

方法A — 内側の面を写し取り、フタをして「ステッチ」でソリッド化(推奨)

Inventor には囲まれた空間をソリッド化する スカルプト がありますが、 管形状では意図どおり通らないことがあります。次の手順が確実です。

  1. 3Dモデル > 修正 > 厚み/オフセット で、管の内側の面を選択し、 距離 0 mm・出力をサーフェスにして OK します。内壁を写し取った サーフェスボディができます(「面の自動チェーン」を使うと内面をまとめて拾えます)。
  2. 元のソリッドを非表示にし、①のサーフェスだけを表示します。
  3. 3Dモデル > サーフェス > パッチ(境界パッチ)で、入口・出口それぞれの 開いたエッジを選んでフタを作ります。☑「自動エッジチェーン」で輪郭が一周拾われます。
  4. 3Dモデル > サーフェス > ステッチ で、①〜③のサーフェス3枚をすべて選択します。 ☐「サーフェスとして保持」のチェックを外したまま適用すると、 閉じたサーフェス群がソリッドに変換されます。 閉じないときは「最大許容差」(既定 0.254 mm)を少し大きくします。

手順1: 厚み/オフセットをオフセットサーフェスで距離0

手順1 — 厚み/オフセット を「オフセットサーフェス」モードにし、距離 0、 出力(ボディ名)を付けて内壁を写し取ります。

手順3: 境界パッチでフタを作る

手順3 — 境界パッチ。開いたエッジを1本選び、☑「自動エッジチェーン」で 輪郭が一周拾われます。

手順4: ステッチのサーフェスとして保持を外す

手順4 — ステッチ でサーフェス3枚を選択し、☐「サーフェスとして保持」の チェックを外したまま適用するとソリッドになります。最大許容差は既定 0.254 mm。

方法B — ブロックを押し出して減算し、「面を削除」で外側を落とす

  1. 入口の端面にスケッチで矩形を描き、押し出しで流路を覆うブロックを 新規ソリッドとして作ります。
  2. 修正 > 結合 で、ブロックから管のボディを減算(差)します。
  3. ここに Inventor 特有の落とし穴があります。 結果は「管の外側の塊」と「管の内側の空間」に分かれて見えますが、 ブラウザ上は1ソリッドとして数えられ、外側だけをボディ削除で消せません。
  4. そこで 修正 > 面を削除 を使い、流体ボリューム以外の面 (ブロックの外面 → 管の外周面の順)を削除します。 残った面が閉じた時点で、流体ボリュームだけのソリッドになります。

手順4: 面を削除で外側の面を落とす

手順4 — 面を削除 で不要な面を選びます(ここではブロックの外面6面)。 残った面が閉じた時点で、流体ボリュームだけのソリッドになります。

手数は方法Aのほうが素直です。方法Bは③の挙動を知らないと詰まります。

書き出し

ファイル > 名前を付けて保存 > コピーを名前を付けて保存 から、 「ファイルの種類」を切り替えて行います。

「オプション」で開く画面。単位は「ミリメートル」、解像度は 高 / 中 / 低 / カスタム / Brep。サーフェスの偏差が % 指定なのが SOLIDWORKS との違いです (既定の「高」は 0.005%)。

サーフェスボディをリネームし1つだけ表示した状態

ステッチ後もサーフェスボディは残ります。wall / inlet / outlet に リネームし、書き出したいものだけを表示にして保存します。

その他の CAD

上記以外の CAD でも、探すコマンドは同じです。

流体ボリュームさえ作れれば、あとは STEP か STL で書き出すだけです。 なお Parasolid・IGES・JT など StreamWright が受け付けない形式しか出せない場合は、 いったん STEP に変換してください(第0章)。

STL の解像度の目安(共通)

共通のつまずきポイント

付録 アップロード前チェックリスト

  1. ☐ 解析対象は「流体の空間」になっているか(内部流れで部品の固体をそのまま出していないか)
  2. ☐ モデルの設計単位(mm / m)を把握し、Geometry Unit で正しく選んだか
  3. ☐ 面を分けたい箇所はファイルを分けて書き出したか(1ファイル=1パッチ)
  4. ☐ ファイル名は英数字と _ か。inlet / outlet 命名の自動割当を活用したか
  5. ☐ ゾーン系(CHT 固体・MRF ローター・多孔質・AMI 缶)は閉じた閉曲面か
  6. ☐ CHT: 固体は流体ボリュームに重ねて(内包して)配置したか(くり抜き不要)
  7. ☐ 回転機械: MRF=缶不要/AMI=缶必須 を取り違えていないか
  8. ☐ 重力が効く解析(自然対流・粒子)で、モデルの上下を Z 軸に合わせたか
  9. ☐ 薄い部品・同一平面の界面は、ベースメッシュ寸法と整列できる厚さ・位置か
  10. ☐ アップロード後、3D プレビューで寸法(バウンディングボックス)と パッチの色分けを確認したか

分からないことがあれば、まず例題ライブラリから 自分の解析に近い例題を開き、その .ofb.zip をロードして設定を眺めてみるのが 近道です。すべての例題に検証値と設定の解説が付いています。

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