例題1: 90°エルボ配管の圧力損失(乱流内部流れ)
StreamWright の最も基本的なワークフロー(プロジェクト読込 → 設定確認 → 実行 → 結果の読み取り)を、理論値と照合できる圧力損失問題で学びます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 解析タイプ | 単相流(非圧縮)・Internal(内部流れ) |
| ソルバ | simpleFoam(定常) |
| 乱流モデル | k-ε |
| ジオメトリ | 90°エルボ管(内径 D = 50 mm・中心線長さ L ≈ 0.95 m) |
| 流体 | 空気(ρ = 1.225 kg/m³, μ = 1.78×10⁻⁵ Pa·s) |
| 流入条件 | 入口面法線方向に 10 m/s(Re ≈ 33,000・乱流) |
| メッシュ | snappyHexMesh・約 23,000 セル(管断面に 12〜15 セル) |
| 実行規模(目安) | 1 コア・約 1 分・1 クレジット |
所要時間は目安です。実行環境・メッシュ規模・混雑状況により変動します。
この例題で学べること
- プロジェクトファイル(.ofb.zip)の読込 — 設定済みの解析を 1 クリックで再現する
- 内部流れの設定の見どころ — パッチ(inlet/outlet/wall)、ドメイン境界、locationInMesh
- 収束モニタの読み方 — 残差だけでなく、知りたい工学量(Δp・流量)の定常性で収束を判断する
- 理論値との照合 — Darcy-Weisbach 式+エルボ損失係数で解の妥当性を確認する
実行手順
- ex01_elbow90_dp.ofb.zip をダウンロードする
- StreamWright サイドバーの 📂 Load Project (.ofb.zip) にドラッグ&ドロップする
- ジオメトリ・パッチ設定・メッシュ設定・物性がすべて復元されます

- 各タブで設定を眺める(変更は不要です)
- 1️⃣ Patch Setup:
inletが面法線方向 10 m/s、outletが圧力 0 Pa(ゲージ)、wallが壁 - 2️⃣ Base Mesh: ドメイン 0.735×0.735×0.07 m・ベース分割 44×44×5
- 4️⃣ Physics: 空気の物性と k-ε 乱流モデル
- 6️⃣ Run タブ → ケースサマリを確認 → 🚀 Generate & Run

- 約 1 分で完了します(SIMPLE solution converged in 267 iterations)
期待される結果
実行が正常に終われば、以下とほぼ同じ数値になります(見本: sample_report.html)。
| 量 | 値 | 確認場所 |
|---|---|---|
| 収束反復数 | 267 回 | Run タブ・solver.log |
| 入口平均圧力 p/ρ | 27.3 m²/s² | swConv_p_inlet モニタ |
| 圧力損失 Δp | 33.5 Pa(= 27.3 × ρ 1.225) | レポート・モニタ |
| 流量(入口=出口) | 0.01924 m³/s | swConv_mdot モニタ(質量保存) |
| 品質チェック | 合格(PASSED) | 3 段階総合判定 |

💡 総合判定に「圧力が ±1.2% で微振動」という注意が出ることがあります。流量は完全に 定常で、Δp の帯域判定には影響しません。反復回数(End Time)を増やすとさらに落ち着きます。 このように StreamWright は「工学量が信頼できる状態か」までを自動で診断します。
結果の可視化例(Post Processor タブ):


理論値との照合(この解析は正しいか?)
直管部の摩擦損失は Darcy-Weisbach 式、エルボは損失係数 K で見積もれます。
- 摩擦係数(Blasius, Re = 33,000): f = 0.316·Re^(-1/4) ≈ 0.0234
- 直管摩擦: Δp_f = f·(L/D)·(ρU²/2) = 0.0234 × (0.945/0.05) × 61.25 ≈ 27.1 Pa
- 90°エルボ損失: K ≈ 0.1〜0.3(大曲率・滑面) → 6〜18 Pa
- 理論帯域: 33〜45 Pa
解析結果 33.5 Pa はこの帯域内に収まります(摩擦 27.1 Pa + エルボ損失 6.4 Pa 相当、 K = 0.10)。損失係数の相関には ±30% 程度の不確かさがあるため、帯域での照合が実務的です。
自分の問題に応用するには
- ジオメトリ差し替え: サイドバーに自分の STL/STEP を投入すると、同じ設定思想 (inlet/outlet/wall 命名で自動パッチ分類)がそのまま使えます
- 流速・物性変更: Patch Setup / Physics タブの値を変えるだけです。Re が変われば 乱流モデルの適否(層流なら Laminar)に注意してください
- 圧力損失の評価点を増やす: Runtime Monitors タブで断面モニタを追加できます
- 自分のジオメトリで解くには: inlet / outlet / wall にファイルを分ける基本の手順は ジオメトリ準備ガイド 第1章(内部流れ) にまとめています。CAD ソフト別の操作は 第7章 を参照してください
ジオメトリ: fixtures/internal_flow/pipe_1(リファレンス検証: 2026-06-05 精度検証・ 2026-07-16 例題化時に再実行し Δp = 33.5 Pa / 267 反復を再確認)